Synmeの地政学がくしゅう帳

地政学でクールにザックリ日本の外交・軍事を学ぶ

現代の地政学:2020.1.11台湾にて蔡英文総統が再選・民進党が立法院での過半数維持

またまた最近書けていないけれども、今日は書かないといけない。

なぜなら、2020年1月11日はニッポンの安全保障にとって歴史的に重要な日付となる可能性があるからだ。

2020年[US244]1月11日台湾(Taiwan)では総統選挙と立法院選挙が実施された。総統選挙では、蔡英文総統が再選され、立法院では民進党(民主進歩党)が過半数を維持した。この勝利には、蔡英文・民進党の「台湾とチャイナが同じ『一つの中国』に属するとは認めない」、「台湾の主権、民主、自由を守る」という主張が台湾の人々によって支持されたことを意味する。

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民主進歩党党旗

まず、この選挙の事実を確認しよう。第一に、投票率は74.9%だったそうだ。

台湾の選挙制度では、外国にいる台湾人が投票するためには海外から帰郷しなければならず、不在者投票などの期日前投票制度はなく、投票地も戸籍のある場所でなければならず現住所では投票できない、そうだ。

この条件下で国民の4分の3が投票所に足を運んだということである。いかに台湾の人々にとって今回の選挙が重要であったかが分かるとSynmeは思う。

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投票所まで続く長い長い列

第二に、総統選挙では、蔡英文総統が817万231票を得票し、国民党の韓国瑜・高雄市長の552万2119票、親民党の宋楚瑜主席の60万8590票を大きく上回って勝利し、再選された。

1996年に初の台湾総統選が行われて以降の最多得票は、2008年に馬英九氏が獲得した765万票だったが、今回の蔡英文総統の得票数は800万を超え、過去最多となった。

蔡英文 - Wikipedia

 

第三に、民進党(民主進歩党)は2016年の立法院選挙で初めて過半数を獲得していた。今回、民進党が立法院(定数113)で61議席を獲得して過半数を維持したことは、大きな意義があるのだ。

 

今回、台湾の人々は、『一国二制度』によって将来の台湾統一を目指すチャイナの習近平国家主席に対して、「否」と回答した。武力行使を否定しないチャイナに対して「隣国」台湾の人々が国際社会に明示した矜恃である。

 

ニッポンは東アジアにおいて唯一の民主主義陣営・自由主義陣営・法治国家として、台湾を支えていかなければならないとSynmeは思う。そして、台湾の民主主義と自由が守られることが、南シナ海と関連してニッポンの安全保障にも直結することは地政学的には自明であり、国際社会の常識でもある。

なぜなら、南シナ海はニッポンの石油等のシー・レーンであるし、南シナ海がチャイナの原子力潜水艦の聖域となることはアメリカとチャイナのパワーバランス(相互核抑止)に大きな影響を与えうる憂慮すべき事態であるからだ。そして、日本にとっては民主・自由の台湾こそが「自由な南シナ海」維持のための信頼できる番人である。

こう考えると、日本が台湾の人々の自由と民主主義を維持するお手伝い(最初は、できることからで良いと思う)をすることは「当たり前」だとSynmeには思えてくるのだが… 

 

台湾総統の任期は4年で最長2期までである。蔡氏は5月20日から2期目を務めることになる。次のマイルストーンは2024年だ。

蔡英文総統は再選後Twitterでニッポンとの関係を深めたいと(わざわざ)日本語で投稿している。ニッポンはどうするべきなのか?ニッポン人ひとりひとりが考えるべき課題であるとSynmeは考える。

 

文責:鵄士縦七