Synmeの地政学がくしゅう帳

地政学でクールにザックリ日本の外交・軍事を学ぶ

現代の地政学:2020.1.11台湾にて蔡英文総統が再選・民進党が立法院での過半数維持【参考図書】

少しだけだが、台湾総統選・立法院選の歴史的な結果を受けて、李登輝の著書を紹介しておきたい。

熱誠憂国 日本人に伝えたいこと

熱誠憂国 日本人に伝えたいこと

  • 作者:李登輝
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞出版
  • 発売日: 2016/07/02
  • メディア: 単行本
 

実際に読むのが一番と思うので余計なお世話なのだけれど、「ニッポンにとっての台湾の重要性」という視点に少しだけでも興味を持ってもらえるように、Synmeも数カ所を引用しておく。

 

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民主進歩党党旗

熱誠憂国 日本人に伝えたいことp.44

日本は世界各国から批判されてしかるべきだと思い込み、自信を失っているが、そんなバカなことはない。

(中略)日本を批判しているのは中国と韓国だけで、それもまったく身勝手な、自分たちの都合によるものである。

つまり、チャイナやコリアとの外交が「特殊」かつ「異常」であることを知った上で、あるべきニッポンの外交を考え、実行していかなければならないのである。戦後これまでのニッポン外交は真逆で、チャイナやコリアとの関係こそが外交だと考えていた。

 

熱誠憂国 日本人に伝えたいことp.68

台湾の未来は台湾の存在にあり、またアジアの未来は台湾の存在にある。すなわち、存在することによって台湾の未来は開け、同時に台湾の存在がアジアの未来を支えていくと言っても過言ではないのである。

熱誠憂国 日本人に伝えたいことp.76

中国を変えなくてはならないと、どの国より真剣に考えているのはもちろん台湾であろう。台湾は、中国の人々が世界標準の自由と民主的な制度を台湾とともに享受することを願うと同時に、中国からの脅威が消滅することを一日千秋の思いで願っているからだ。

熱誠憂国 日本人に伝えたいことp.77

日本の地理的位置づけから見ても、台湾とその周辺が危機に陥れば、シーレーンも脅かされて、経済的にもまた軍事的にも、日本が完全に孤立することになってしまうだろう。

(中略)台湾は、日本にとっても生命線なのである。

ニッポンがあくまで民主主義・自由主義・法治国家として隣国台湾の独立・自由・民主・平和を支援して行くだけで、東アジアの平和・秩序が保たれ、ひいてはニッポンの安全保障にも資するということだ。

 

熱誠憂国 日本人に伝えたいことp.70

ここ十数年来の加速的な民主化により、台湾の政治システムは脱内戦化が図られ、また自由、公正な選挙を通じて示される台湾の民意に基づいて、政府の編成が行われる仕組みが作られた。

熱誠憂国 日本人に伝えたいことp.182

1996年に台湾で初めて、国民が選挙で総統を直接選んだことによって、やっと外来政権の呪縛から逃れることができた。

蔡英文総統が再選され、2016年に初めて過半数を獲得した民進党が再び過半数を維持した今回の選挙は、民主国家台湾が実質的に独立した1つの主権国家として、次のステージに進んだことを意味するようにSynmeは考える。

これは、ニッポンとしては、2024年まで時間的猶予が与えられたと捉えることもできる。ニッポンは、隣国台湾の独立・自由・民主・平和を支援するチャンスを与えられたと考えるべきである。

そういった外交が、ひいては香港市民の自由・平和を守ることにもつながるし、チャイナに人権侵害を受け続けている、チベット民族、ウイグル民族、モンゴル民族など少数民族への支援ともなるのだ。

 

文責:鵄士縦七