オーストリアの歴史02:1876.7.8ライヒシュタット秘密協定
オーストリアの地政学を学ぶ。今回はロシアと締結したライヒシュタット秘密協定。最初にクールにザックリまとめる。
1876年[US100]7月8日オーストリアはロシアとライヒシュタット秘密協定を締結。バルカン半島にスラブ民族の国家を作らないこと、オーストリアがボスニアを獲得すること、ロシアがベッサラビアとコーカサスを獲得することを合意した。
三帝同盟(1873年[US097]10月22日)がある中、オーストリアはロシアと秘密協定を結んだ。
ライヒシュタット秘密協定(1876年[US100]7月8日締結、Reichstadt Agreement - Wikipedia)は以下の様な内容であった。
- バルカン半島のキリスト教徒は自治を獲得すべきである
- オーストリアはロシアがベッサラビアとコーカサスを獲得することを認める
- ロシアはオーストリアがボスニアを獲得することを認める
- ロシアとオーストリアは、バルカン半島に巨大なスラブ民族国家を建設しないことに合意する
バルカン半島における民族主義の高まりを受けて、汎スラブ主義と汎ゲルマン主義が対立する中、近い将来に予想される露土戦争を前提に、オーストリアとしては、ロシアのバルカン半島の南下を認めつつ、スラブ民族国家は建設しない言質をとって、事前の領土分割を取り決めたわけだ。
自国はトルコと戦えないが、ゲルマン民族の盟主としてロシアがバルカン半島で勢力を拡大することを無制限に認めるわけにはいかないオーストリア=ハンガリー二重帝国の苦しい立場が透けて見える様にSynmeには思える。
しかし、3国間の同盟を結んでいるのにドイツ第二帝国は蚊帳の外である。やはり軍事同盟は2国間が一番信用でき、3国間でもこんな感じなのだから、多国間の軍事協定なぞ信用する方が悪い。
文責:鵄士縦七