ニッポンの地政学61:1915.1.18対華21ヵ条要求
ニッポンの地政学を学ぶ。今回はチャイナに対する対華21ヵ条要求。最初に、クールにザックリまとめる。
1915年[US139]1月18日ニッポンは中華民国の袁世凱に対し、対華21カ条要求を通告した。その内容は、南満州及び東部内蒙古についての権益を強化し、ドイツの権益(山東省など)継承や製鉄会社の合弁化など新しい権益拡大を目指すものであった。
念のために復習しておくと、当時のチャイナは 辛亥革命(1911年[US135]10月10日〜1912年[US136]2月12日)によって清を滅ぼして成立した中華民国(Republic of China, “R.O.C.”)であったが、第二革命(1913年[US137]7月〜8月)を鎮圧した袁世凱(Yuzan Shikai)が正式に大総統に就任し(同年10月10日)、国民党を解散させ(同年11月4日)国会自体も解散させて、独裁を強めていた時期であった。
実際、1915年[US139]12月12日には袁世凱が中華帝国大皇帝に即位して中華帝国(1915年[US139]12月12日〜1916年[US140]3月22日)を成立させている。
さて。
青島の戦い(1914年[US138]10月31日〜11月7日 )に勝利したニッポンは、翌1915年[US139]1月18日に、中華民国(Republic of China, “R.O.C.”)の袁世凱(Yuzan Shikai)に対し、対華21カ条要求を通告した。
これは5号21カ条からなるものであり、ニッポンにとって最大の関心事は、『旅順・大連(関東州)の租借期限、満鉄・安奉鉄道の権益期限を99年に延長すること(旅順・大連は1997年まで、満鉄・安奉鉄道は2004年まで)』など南満州及び東部内蒙古についての既得権益を強化することであった(第2号7カ条)。
しかし、『ドイツが山東省に持っていた権益を日本が継承すること』など青島の戦いの戦果をチャイナでの権益拡大に結び付けたい(第1号4カ条)という要求や、中華民国最大の製鉄会社(漢冶萍公司(かんやひょうこんす))を合弁会社としたい(第3号2カ条)という要求も含まれていた。
どうやら、この辺りまでは欧米列強としても許容範囲内だった様だが、沿岸の港湾・島嶼を外国に譲与・貸与しないこと(第4号1カ条)とか秘密交渉による希望条項(第5号7カ条、『中国政府に政治顧問、経済顧問、軍事顧問として有力な日本人を雇用すること』など)あたりは列強からも批判を受け、不信感を醸成してしまった様だ。
第5号7カ条の希望条項は結局棚上げして諦めてしまっているわけだから、「サイアク」の外交である。言うまでもないことだが、「秘密交渉」は袁世凱(Yuzan Shikai)によってあっさり暴露されている…
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文責:鵄士縦七