Synmeの地政学がくしゅう帳

地政学でクールにザックリ日本の外交・軍事を学ぶ

現代の地政学:2020.5.28チャイナが香港国家安全法の制定方針を採択 つづき

さて、折角なので、最後に大きな流れでも考えておこう。

今年2020年[US244]は、チャイナに中国共産党(Communist Party of China)が成立(1921年[US145]7月23日)してから99年目にあたり、中華人民共和国(People's Republic of China)が成立(1949年[US173]10月1日)してから71年目にあたる。

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 「国家としては若い」が「民主主義国家としては最古参のひとつ」であるアメリカ、と「国家としては一層若い」「共産主義国家」である中華人民共和国の対立という構図が、リーマンショック(2008年[US232]9月15日)後の世界を形作っている。

今回、「節目」を形成したのは新型コロナウィルス感染症(COVID-19)である。簡単にここまでの経緯を復習しておこう。ひとことで言えば「チャイナのWHOへの報告遅延とWHOによる対応の遅さが、春節期間中の海外旅行によるチャイナから全世界への拡散を招いた」ということだ。

  • 2019年11月17日 チャイナの湖北省武漢で初症例が確認された
  • 2019年12月8日 武漢市保健機関により原因不明の肺炎患者が初めて報告された
  • 2019年12月31日 チャイナは1ヶ月以上経ってWHOに報告(Cf.前日12月30日に李文亮がWeChatに公文書を投稿した)
  • 2020年1月24日〜30日 春節(旧正月)
  • 2020年1月31日 WHOはPHEIC(Public Health Emergency of Int'l Concern)を宣言
  • 2020年3月31日 WHOはPandemic(感染症の世界的な大流行)を宣言
  • 2020年6月10日時点 全世界での累計死者数 約40万人

現在の世界を形成する「対立する2つの若い国家」との外交について、ニッポンは「民主主義国家として」「自由主義陣営として」アメリカ及び台湾を支持するのか?チャイナを支持するのか?を考えなければならないと言うことだ。

タイムフレームとしては、現在から、チャイナの中華人民共和国が100周年を迎える2049年[US273]ないしアメリカが300周年を迎える2076年[US300]までの30〜50年のニッポンの進路を現在のニッポン人が決めると考えておけば良いだろう。

 

人間関係でも同じだけれど、信頼できるかどうか?ということも大事だ。チャイナとアメリカの(どちらかを信頼しなければならないとしたら)どちらが信頼できるか?

ちなみに、これまでニッポンが同盟を結んだことのある国は、イギリス、ロシア、ドイツ、イタリア、アメリカの5ヶ国だけれど、同盟を結んだ状態で明確な裏切り行為を働かれたのがドイツ、すぐ離反して反対陣営にチャッカリ鞍替えする特徴のあるのがイタリア、イギリス・ロシア・アメリカは軍事同盟としてはキチンと機能していたと言って良いだろう。

これまでに同盟を組んだことのあるイギリスやロシアと関係を強化することは可能なのか?アメリカ、イギリスと強固な関係になるファイブ・アイズ諸国のカナダ、オーストラリア、ニュージーランドはどうか?親日的な諸国家、台湾、インド、トルコ、フィンランドなどとの関係を強化できないか?なども考えてみるべきだろう。

 

今年30歳になる人で考えれば、「60歳〜80歳の自分が、自由で平和な民主主義国家で老後の生活を過ごせているだろうか?」ということである。結構、身近な問題なのでは?

そして、そう考えてみた気持ちのまま、現在の香港に住む人々や、台湾の国民はどうなんだろう?と想像してみたり、ウイグル、チベット、内モンゴルに住んでいるチャイナ内の少数民族の人々の生活を想像してみたりする必要がニッポン人にはあるだろう。

 

ちなみに、ニッポンは少なくとも1,200年の歴史を持つ国家であり、19世期末から立憲国家としての歴史を持つ国家であるので、 「国家として長い歴史を持ち」かつ「民主主義国家としても最古参のひとつ」です。意外ですか?