Synmeの地政学がくしゅう帳

地政学でクールにザックリ日本の外交・軍事を学ぶ

現代の地政学:2020.5.28チャイナが香港国家安全法の制定方針を採択

またまた半年近く書けていないけれども、遅ればせながら香港について書こうと思う。

2020年[US244]5月28日はニッポンの安全保障にとって歴史的に重要な日付となった。つまり、アメリカとチャイナの対立という構図が決定的になったからだ。

同日、チャイナの全国人民代表大会(全人代)で、香港に「国家安全法」を整備する決定が採択されたのだ。

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まず結論から。チャイナが香港国家安全法の制定方針を採択(2020年[US244]5月28日)したことでチャイナの主張してきた「一国二制度」というアイディアが崩壊した。これにより、台湾が選挙により(武力を使わず、政治的に)チャイナに吸収される可能性が限りなくゼロになった。

2020年[US244]1月11日台湾(Taiwan)では総統選挙で蔡英文総統が再選され、立法院では民進党(民主進歩党)が過半数を維持した。蔡英文・民進党の「台湾とチャイナが同じ『一つの中国』に属するとは認めない」、「台湾の主権、民主、自由を守る」という主張が台湾の人々によって支持されたのだ。

チャイナが香港国家安全法の制定方針を採択(2020年[US244]5月28日)は、まさにダメ押しだったわけだ。

 

では、ニッポンの安全保障にとってはどういう意義があるのか?

これも結論から。ニッポンの安全保障の「二者択一」が明確になった、という意義がある。すべてのニッポン人は、下記のいずれかを選ばなければならないのだという意識を持って、今後の外交・防衛戦略を注視し、選挙のたびに投票していく必要がある。

  • チャイナが台湾を武力で制圧することを許す。従って、香港国家安全法について静観する。あるいは、支持する。
  • チャイナが台湾を武力で制圧することを許さない。従って、香港国家安全法について欧米と共同歩調をとって抗議・反対する。

 

喫緊のテーマで言うと、習近平を国賓待遇でニッポンに招くことについてどう考えるか?があるだろう。

「習近平を国賓待遇でニッポンに招いても良いんじゃないの?」と考えるということは、全世界に対しニッポンは「香港国家安全法について静観する。あるいは、支持する」という立場であるとのメッセージを与えても良いと考えるということであり、ひいては「チャイナが台湾を武力で制圧することを許す」という立場であるとのメッセージを台湾やアメリカに与えても良いと考えると言うことである。

さて、どっち?

 

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ところで、チャイナの国家安全法についての日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」の説明を引用しておく。ググってたら、たまたま目に留まりました。

なんだっけ/国家安全法って?

なんだっけ 国家安全法って?

Q中国の全国人民代表大会(全人代)で、香港に「国家安全法」を整備する決定が採択されたね。国家安全法ってどんなもの?

A中国本土では2015年7月1日に国家安全法が施行されました。同法は「国家安全」の定義を「国家政権、主権、統一および領土保全、人民の福祉、経済社会の持続可能な発展、その他の国家の重大な利益に危険がなく、内外の脅威に侵されない状態」(第2条)と、かなり幅広く規定しています。その上で、「売国、国家分裂、扇動反乱、政権の転覆および転覆を扇動するあらゆる行為、国家機密の窃取および漏えい、国外勢力による浸透・破壊・転覆・分裂活動を、防止・制止・処罰する」(第15条)としています。

Qこの法律で中国社会はどう変わったの?

A施行直後に、当局が中国本土で人権派弁護士や活動家ら数百人を一斉に拘束した「7・9事件」が発生。そのなかには国家政権転覆罪で実刑判決を受けた弁護士もいます。民主や自由を求める活動が弾圧され、出版やインターネットなど言論への規制も強まりました。

Qもし香港に整備されるとどうなるのかな?

A香港版「国家安全法」は、全人代の常務委員会がこれから制定します。全人代決定は、同法を香港立法会の審議を経ずに施行すると決めました。香港の「高度な自治」を保障した「一国二制度」に反するものです。香港での言論の自由や政府に対する抗議行動などが押さえつけられることが懸念されます。

(2020・5・31) 

 

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ps まったく更新していない間に、累計PVが10,000に達しました。嬉しい。今後もがくしゅうして行きます。