フランスの地政学03:1805-1806第三次対仏大同盟
ひきつづきフランスの地政学としての第三次対仏大同盟を学ぶ。今回はナポレオン戦争の勃発から。最初にクールにザックリまとめる。
1803年[US027]イギリスはアミアンの和約を破棄してフランスへ宣戦布告。ナポレオン戦争が勃発した。フランス第一帝政のイギリス侵攻計画に対抗して、1805年[US029]イギリスは第三次対仏大同盟を結成。フランスは、イギリス、オーストリア、ロシア、ナポリ、スウェーデンの5ヶ国連合軍と戦うこととなった。トラファルガーの海戦においてフランス・スペイン連合艦隊がイギリス艦隊に敗北するも、Napoléonはウルム戦役でオーストリア軍に勝利し、アウステルリッツの戦いでロシア・オーストリア連合軍に勝利。プレスブルクの和約により、オーストリアはフランスにイストリアとダルマチアを割譲、イタリア王国を承認して同国にヴェネツィアを割譲した。1806年[US030]にフランス軍がナポリ王国を征服。Napoléonはライン同盟を成立・保護国化させて神聖ローマ帝国を解体させた。第三次対仏大同盟はイギリス、ロシア、スウェーデンの3ヶ国のみになってしまった。
1803年[US027]5月16日、イギリスはアミアンの和約を破棄してフランスへ宣戦布告。ナポレオン戦争が勃発した。
一方、Napoléonは、1804年[US028]12月2日「フランス人民の皇帝」に即位。フランス第一帝政が成立していた。
Napoléonは、海上封鎖を展開してフランス経済に打撃を与えるイギリス本土への侵攻作戦を計画。ドーバー海峡に面したブローニュに18万の兵力を集結させた。イギリスは、これに対抗するため、1805年[US029]4月11日に第三次対仏大同盟を結成した。
この第三次対仏大同盟(1805年[US029]4月11日〜1806年[US030]3月30日)の参加国はイギリス、オーストリア、ロシア、ナポリ、スウェーデンの5ヶ国だった。
1805年[US029]10月21日トラファルガーの海戦においてフランス・スペイン連合艦隊がHoratio Nelsonが率いるイギリス艦隊に敗北。Napoléonは、イギリス進攻計画を諦めざるを得なかった。
しかし、ウルム戦役(1805年[US029]9月25日〜10月20日)でオーストリア軍に勝利し、1805年[US029]12月2日アウステルリッツの戦いにおいてNapoléon率いるフランス軍がロシア・オーストリア連合軍に勝利すると、オーストリアは戦争継続の意思を失った。
今回もドイツ方面と北イタリア方面の2正面が戦局になり得たが、Napoléonがドイツ方面であっという間に大勝してしまうことで、オーストリアに敗北を認めさせた。Napoléonが皇帝となり、戦局全ての指揮を執って、自ら軍を率いた結果だとSynmeは思う。ちなみにトラファルガーの海戦における敗戦について、Napoléonは嵐にあって難破したと情報操作をしたそうだ。
1805年[US029]12月26日プレスブルクの和約によりフランスはオーストリアと講和し、フランスにイストリアとダルマチアを割譲、イタリア王国を承認して同国にヴェネツィアを割譲した。
さらに1806年[US030]7月12日Napoléonは親フランスのライン同盟を結成し、神聖ローマ帝国を解体させた。フランスの覇権は中部ドイツまで及ぶこととなった。
第三次対仏大同盟はプレスブルクの和約によりオーストリアが抜け、1806年[US030]3月30日フランス軍に征服されてナポリが抜け、イギリス、ロシア、スウェーデンの3ヶ国だけになってしまった。
対仏大同盟の場合、オーストリアがすぐに降伏・講和してしまう。Synmeが考えるに、同盟関係において同盟国を単独講和させないことが何より重要である。話が飛ぶけれども、第二次世界大戦においてアメリカがチャイナを手厚く遇し、現代においてチャイナがUnited Nationsの常任理事国にまでなっているのもチャイナが日本と単独講和するのを阻止するためであった。
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第三次対仏大同盟もフランスの勝利と言えるが、海戦での勝者はまたもイギリスであった。イギリスでは、トラファルガーの海戦の勝利を記念してトラファルガー広場が作られ、同広場にはNelsonの銅像が建っている。一方、フランスにとってのアウステルリッツの戦いの意義も大きく、凱旋門はその勝利を記念して建てられた。
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Horatio Nelsonはトラファルガーの海戦で戦死するが、この戦いにおける彼の訓示"England expects that every man will do his duty."(英国は各員がその義務を尽くすことを期待する)が有名。英語の勉強としては、Nelsonのオリジナル・フレーズ“Nelson convinced that every man will do his duty”(ネルソンは各員がその義務を全うすることを確信する)のconvinceの使い方が為になる。
文責:鵄士縦七