Synmeの地政学がくしゅう帳

地政学でクールにザックリ日本の外交・軍事を学ぶ

ロシアの地政学42:1867.3.30アラスカ売却

クリミア戦争後のロシアの地政学としてアラスカ売却を学ぶ。最初に、クールにザックリまとめる。

1867年[US091]3月30日、ロシアはアラスカを720万ドルでアメリカに売却する条約に調印した。

f:id:synme:20170818001345j:plain

交渉開始の正確なタイミングはSynmeが不勉強で分からないが、クリミア戦争(ロシア・トルコ戦争、1853年[US077]3月28日〜1856年[US080]3月30日)の後まもなく始まったようだ。

クリミア戦争でイギリスの海軍力を見せつけられたロシアにとっては、防衛が手薄なアラスカをイギリスに奪取される懸念が高まっていたようだ。折しもアラスカ経営が悪化していたため、「イギリスに盗られるくらいなら」とアメリカに廉価で売却したようだ。う〜ん、やはりロシアは戦争以外の交渉は得意ではないらしい。いや、アメリカが巧いのか…

しかし、南北戦争(The Civil War、1861年[US085]4月12日〜1865年[US089]4月9日)により交渉は中断を余儀なくされた。

そして、南北戦争終了後に改めた交渉が再開され、1867年[US091]3月30日、ロシアはアメリカに720万ドルでアラスカを売却する条約に調印した。冷戦時代を経た現代の視点からロシアを愚かと評するのも短絡的である。

仮に、アラスカがイギリスに奪われた場合、イギリスとヨーロッパ列強に挟み撃ちされるわけである。それであれば第三者的な立場にあるアメリカに買って貰おうというのは根拠がないわけではない。

加えて、クリミア戦争に敗北したロシアにとっては、アラスカ防衛の必要がなくなり、軍事増強の資金が入手できるという実利もあったということである。

とはいえ、ロシアに長期的な戦略的展望がなかったことも事実ではある。ロシアがアラスカに領土を保有している21世紀の国際社会というのは想像するのも難しいが、現状とは大きく違っているであろうことは確実である。

--- 

synme.hatenablog.com

synme.hatenablog.com

synme.hatenablog.com

 

文責:鵄士縦七